ファクタリングの活用を考えてはいるものの、支払いが困難になる状況への不安から一歩を踏み出せない方も少なくないでしょう。
本記事では、ファクタリング会社への支払いが難しいケース、支払いができなかった場合の影響、またその対策について詳しく解説します。
ファクタリングとはどんなサービスか？
まず初めに、ファクタリングがどのような役割を持つサービスなのかを確認しておきましょう。
ファクタリングは迅速な資金調達の方法
ファクタリングとは、企業が保有する売掛金を専門のファクタリング会社に売却することで、資金を早期に確保できるサービスです。
この手法は、特に次のような場面で活用されます。
事業拡大のための設備投資をする際
事業を拡大し、競争力を高めるためには設備投資が必要不可欠です。
しかし、設備投資には多額の資金が求められ、企業のキャッシュフローに大きな影響を与えることがあります。
そこでファクタリングを活用することで、売掛金の入金を待たずに迅速に資金を確保し、投資をタイムリーに行えるのです。
資金繰りに苦しむ場面
資金繰りが厳しい場合、ファクタリングは有用な資金調達手段となります。
キャッシュ不足により、設備投資が困難になったり、従業員給与の支払いが滞るリスクがあります。
そのような状況が続けば、事業は自転車操業に陥り、最悪のシナリオでは黒字倒産の恐れもあります。
ファクタリングを利用すれば売掛金の回収を待たずに資金を得ることができるため、未回収リスクの軽減と資金繰りの改善に役立ち、突発的な資金需要にも柔軟に対応できます。
キャッシュフローの安定化を図るとき
ファクタリングは売掛金を早期に現金化することで、キャッシュフローを改善し安定させます。
これにより、支払い遅延や未払いのリスクを防ぐことができます。
さらに、ファクタリングを活用することで貸借対照表をオフバランス化することも可能です。
オフバランス化とは、企業の負債や資産を貸借対照表に計上せずに管理することを指し、これにより企業の財務体質の健全化が図られ、財務指標の改善にもつながります。
ファクタリング会社に支払いができなくなるケース
ファクタリングは売掛金をファクタリング会社に譲渡する形で利用されますが、売掛先からの入金後にその売掛金をファクタリング会社に支払う義務があります。
ここでは、ファクタリングの契約形態と支払いが困難になるケースを詳しく見ていきます。
2者間ファクタリングの仕組み
2者間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社が直接契約を結ぶ形態です。
その手順は以下の通りです。
- 商品やサービスを提供し、売掛金が発生する
- その売掛金をファクタリング会社に譲渡する
- ファクタリング会社から手数料を差し引いた金額が利用者の口座に振り込まれる
- 売掛先から利用者に売掛金が支払われた後、その資金をファクタリング会社に送金する
3者間ファクタリングの仕組み
3者間ファクタリングは、利用者、売掛先、ファクタリング会社の三者間で契約が締結されます。
その流れは次の通りです。
- 商品やサービスを提供し、売掛金が発生する
- 売掛先にファクタリング利用の承諾を得て契約する
- ファクタリング会社から手数料を差し引いた金額が利用者の口座に振り込まれる
- 支払期日に売掛先がファクタリング会社に売掛金を支払う
2者間ファクタリングで支払いが困難になる理由とは？
2者間ファクタリングでは、利用者がファクタリング会社に売掛金を支払うことになるため、「売掛金を支払えなくなる事態が生じるのか」と心配する方もいるでしょう。
通常、売掛先からの入金をそのままファクタリング会社へ支払えば良いため、資金不足に陥ることはありません。
ただし、税金や給与の支払い時期が重なると資金が不足し、結果的にファクタリング会社に支払えなくなる可能性があります。
支払いができない場合の対応策
万が一、売掛先から回収した売掛金をファクタリング会社に支払えなかった場合には、次のような対応が求められます。
売掛先への債権譲渡通知
ファクタリング会社への支払いが滞った際、売掛先企業に対して債権譲渡通知が送られることがあります。
通常、2者間ファクタリングでは売掛先にファクタリングの利用を事前に通知する必要はありません。
しかし、支払いが滞ると通知が行われるため、結果的に売掛先にファクタリング利用が知られることになります。
これにより、売掛先からの信頼が損なわれる恐れがあります。
損害賠償請求のリスク
ファクタリング会社に売掛金の支払いができないと、損害賠償請求を受ける可能性があります。
損害賠償が発生した場合、利用者は損害金に加え遅延金の支払い義務が生じます。
売掛先企業の事情による遅延の影響
売掛先企業の都合で支払いが遅れる場合、利用者に責任が及ぶことはありません。
ファクタリングは基本的に「償還請求権なし」の契約です。
この契約形態では、売掛金が回収できなかった際にファクタリング会社が利用者に支払いを請求する権利がないため、未回収リスクは利用者にありません。
ただし、回収には適切な努力を払う必要があります。
ファクタリングの支払いは延長できるのか？
ファクタリング契約において、支払いの延長や分割払いはできません。
ファクタリングは貸金業とは異なるため、これらの行為は違法となる可能性があります。
そのため、売掛金を回収した際には、速やかに一括で支払うことが求められます。
支払いが困難な場合の対策
では、売掛金の支払いが難しい状況に陥った場合はどのような対応を取るべきでしょうか。
踏み倒しは犯罪となる
売掛金の支払いができない場合であっても、踏み倒すことは許されません。
横領罪に問われる可能性があり、最悪の場合、財産が差し押さえられ、事業の継続が困難になるでしょう。
支払いができない場合は、速やかにファクタリング会社に連絡し相談することが重要です。
ファクタリング会社に事情を説明し、指示を仰ぐ
ファクタリング契約の違反により支払いが難しくなった場合は、ファクタリング会社に状況を説明し、その指示に従うことが求められます。
ただし、虚偽の情報で契約を結んでいた場合、対応してもらえる可能性は低くなるでしょう。
まとめ
ファクタリングは、資金繰りの改善やキャッシュフローの安定化に役立ち、事業の成長をサポートする効果的な資金調達手段です。
しかし、特に2者間ファクタリングを利用する際には支払いに注意が必要です。
利用時には、売掛金の支払期日を確実に守る売掛先を選ぶか、3者間ファクタリングを活用することを検討しましょう。
